浅い日

ゲームやってるおっさんです。ソロキャンしたい。

「GET・OUT」 笑いと恐怖は表裏一体

監督ジョーダン・ピール 脚本ジョーダン・ピール

出演者ダニエル・カルーヤ アリソン・ウイリアムズ ほか

 

題材に人種間を用いた作品。

暑いのでホラー物がみたくなり視聴。

結果パニック物だった。笑いもあるよ。

 

あらすじ

写真家である黒人クリスは、ある日白人の彼女であるローズの実家に招かれ紹介される。

そこで催されたパーティーに集う多くの白人達は、黒人である彼に人種的なジョークを混じえ会話する。

だが腑に落ちない会話が一つ一つあり印象に悪く残る。それはやはり白人から見た黒人への目線がつきまとうからか。

そして彼女の「家族は白人で使用人は黒人」というステレオタイプな成り立ちにクリスは困惑を覚える。

黒人使用人の奇行や、彼女の母にかけられた催眠術などでクリスは平常心を無くしていく。

危機を感じて日を早めて自宅へ戻ろうとする。しかしついにそこで今まで隠されていた白人達の思惑が露見される───。

 

 

NOネタバレ感想

その思惑とは突拍子もないことで、話の途中幾ら考えても思いつかず驚いた。

あまりにも話が見えてこない、そのうえクリスの行動自体にも首をかしげることもやや多く(ホラー故の)、主観をどちらに置くか迷っていたが最後の展開には見事にやられた。

 

人種間とあるように、のっけの白人彼女の親との会話から常にひりついた空気があり、そこらに疎い日本人にも気が悪くなる場面もあった。

しかし度々表れる電話先の黒人である友人とのやり取りはユーモアに溢れる。

それは人種問コミュニケーションを見て、くたびれ疲れた視聴者にドライな笑いを与えてくれる。 

この演出はとても上手い塩梅であり、自分には小説家である平山夢明ジョークに通じる所があると感じ取れた。

調べた所、監督、脚本共に務めたジョーダン・ピールはコメディアンであり、この初の作品をホラーとして作り上げたのは「笑いと恐怖は通じている」からくるそうだ。

それについてとても納得出来る今作であった。

 

 

OKネタバレ感想

・・・次にすすみますか?

yes←

no

 

 

今作に於いて視聴者は幾つも謎を抱えながら見ていくことになる。

軽い物も含め一つずつ挙げていけば。

・使用人の黒人男女の奇行。

・彼女の母にて行われた催眠術。

・開催されたパーティーには白人ばかり。

・黒人に憧憬を抱えたものが多い

・その中に黒人も存在したが、年の二倍離れた白人の妻を持つ。

・その彼はカメラのフラッシュに驚き豹変しゲットアウト───出て行け!と連呼。

・その彼は現在行方不明者として記録されていた。

・主人公クリスのいない場で、彼の写真横にて行われた白人等のビンゴ大会。

・まだ結構ある。

その謎を大雑把に明かしていく。

 

白人達はすべて新興宗教系なアブナイ連中であり、目的は黒人を拉致しその身体に自身の脳を移植し身体を乗っ取る事であった。

その活動はローズの実家である地下室で行われていた。

そしてローズの祖父母は現使用人の男女であり黒人として生きていた、使用人のていは隠れ蓑である訳だ。

 

集められた白人達は黒人の身体に強い憧れを持ち、年を老い、眼を失明した者もいた。

そう、その白人達によって行われたビンゴ大会はすなわち黒人である彼の身体を懸賞に賭けたオークションだ。

 

そして母の催眠術は乗っ取り目的のプロセスの一つである。かかると気を失い、身体を束縛し手術を行う。

 

そしてどうやら脳の移植をされても潜在的な意識は微かに残るようで、たとえば強いフラッシュを浴びれば一時的にその深い闇から放たれる。

集いに混じった黒人の奇行もそれであり、その折に出たゲットアウトの発言は主人公を救う為の物であった。

 

その真実を椅子へ束縛された状態で明かされたクリスは機転を効かせ、気を失ったフリをし身体を移送する為にきた彼女の弟を撃退。

次に弟の戻りを待つ父を剥製の鹿のオブジェで突撃し串刺し。

この一連の流れはさすがの黒人パワーと圧倒され、とても感動した。

最後は化かされた白人一家全てに死のお灸を据え、友人である黒人に救出されるのであった。

 

本来の構想では救出されるのでは無く、逮捕されるバッドエンドで締められるはずだったが。

その時代、大統領に黒人のオバマが就任し、もはや白人黒人の問題を今更話すことは無いとし、黒人であるクリスを逮捕では無く救出に変更しハッピーエンドと締めたそうである。

時代背景を考慮し、今作品のジャンルはホラーであるが上手く組み込むことに成功したものと思える。

 

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